制服に隠された想いと、繕ってきた顔──
幼馴染でライバル副操縦士たちの歪んでいく境界線。
あらすじ
同期は訓練生ばかりの中、若くして航空機の副操縦士となりパイロットとしてキャリアを重ねている桜庭奏太。
顔よし・頭よし・セフレが絶えない人生イージーモードを送っているが唯一目障りなのは──幼馴染であり、副操縦士としてナンバーワンエースと評される宇梶 紡の存在。
いつも飄々と流す宇梶に、桜庭の敵愾心は高まる日々。
だが女遊びがアダとなり、桜庭は同僚CAからストーカー被害に遭ってしまう。
エスカレートする行為に辟易した桜庭は「俺とゲイにならないか!?」と宇梶にある依頼を持ちかけて…?
ネタバレあり感想まとめ
人生イージーモードの奏太の唯一のライバルは同期で幼馴染の紡だった。女をとっかえひっかえして遊んでいた奏太だが、ある日関係を持ったCAがストーカー化してしまい、奢りを条件に紡とゲイのふりをしてもらうことに。すぐに終わらせるつもりが、紡が暴走しキスまでされてしまう。仕事先のボストンで、予約ミスから紡と同室になってしまった奏太。ボストンにいる女の子を誘おうとしていると、寝たはずの紡に「勃ってる?」と抜かれてしまい、思わず殴ってしまう。
小学校に転校して早々いじめられていた紡を助けたことから友達になった二人。高校生になった紡はいつの間にか自分よりも前を行くようになっていた。進路希望で紡がパイロットになることを聞いた奏太は、負けず嫌いから自分もその道を目指すことにしたのだ。職場の飲み会で飲まされ、ぐでぐでになった奏太は紡の家でお世話になることに。介抱しようとする紡を「お前のオナテクもっかい披露してほしいな〜」と煽り、さらに「お前こそやらしい目で俺のことずーっと見てたんじゃねーの」と続ける。
紡に抱かれ、思わず奏太が喘いでしまうと、「そんな声も出るんだな」と動きを強める紡。事後、あの頃のような関係性には戻れないなら、と奏太は紡とセフレになることに。旅先で会う約束をして機内に乗り込むと、機長から紡と機長の娘のお見合いのセッティングをしたいからと紡がどんな人物か尋ねられる。また紡に置いていかれるのかと感じた奏太はやけくそのまま紡の元を訪れ自分から「抱け」と言う。紡に対しいろいろ質問してくる奏太に「お前には関係ない」と言うと取り繕ったようなっ顔で笑いながらお見合いを受けた方がいいと言われる。それを見て「何お前妬いてんの」と言うが、頑なに否定する奏太の顔は酷い顔をしていた。
そのまま奏太は「せいぜい幸せにな」と出ていってしまう。そばにいられればいい、奏太が「ライバル」の関係を望むならそれに応えようと思っていた紡。奏太が好きだという気持ちに気付かれたら関係が壊れてしまうけれど、いっそ嫌われた方が気持ちに整理がつくと思って手を出したのだ。それなのに妬いているようなそぶりを見せられ、我慢できなくなってしまう紡。紡の元を飛び出した奏太は一人雨の中もやもやしていた。幼馴染でもセフレでもライバルでもなくなってしまった自分達の関係性はなんなのか。ただの同僚になってしまうならあの頃のような純粋な友達に戻りたいと思う奏太。気分転換に合コンに参加する奏太だが、なぜかその場に誘われてもいない紡も代理でいた。何度も自分に突っかかってくる理由とお見合いはどうしたのかと紡に訪ねると「断ったに決まってんだろ」とそのまま襲われそうになる。「やだ!!」と突き放してしまった際に、紡は右手を強くついてしまう。あの頃に戻りたい、「ずっとお前は俺だけのって思ってた」「ずっとずっと一緒だって思ってたのに」と告白する。すると紡は奏太の額にキスをして「今ので最後にする」「俺にとってはとっくの昔にもうお前は幼馴染じゃなくなってたんだ、嘘ついてごめんな」と出ていってしまう。翌日出社した紡は、飛行機を操縦しようとするが右手の怪我を指摘され、代役で奏太が飛ぶことに。自分が突き飛ばしたせいで怪我をしたの紡に謝られてしまう。
焦って意地になって紡と話す機会を自分で潰していたことに気付いた奏太。いつも通り離陸すると、奏太の操縦している機体がエンジントラブルを起こし緊急着陸をすることに。「僕に任せてください」「必ず全員無事に送り届けます」と機体の操作を機長と確認して操縦桿を握る奏太。機体は無事着陸に成功し焦って飛び出した紡と再会を果たす奏太。心配で死ぬかと思ったという紡は、そのまま奏太を抱きしめ「もう一度俺のこと見てほしい」「いい加減意地張るのやめよう…俺たち」というその言葉に応えるように紡の耳元で「やりなおそう、俺も幼馴染はもうやめる」と囁いた。帰宅早々押し倒されキスをする二人。「ケガ人はおとなしくしてろ」と自分で後ろを慣らし始める奏太。自分で抜いたことがあるのか、と聞くと「ここに挿れることばっか考えてた」とそのまま挿入される。お互いにもう嘘はつかない、と約束を交わす。時が経ち、奏太が機長に昇格したことによって二人でフライトをすることも増える。紡も昇格試験を受ければ実力からして機長になることは容易なのだが、奏太の隣にいられるこの時間を大事にしている紡はもう少し後でもいいと言うのだった。
パイロットが主人公のB Lは初めて読みましたが、フライト先でも二人で愛を育むことができるのは素敵ですね。今までの関係が大事で壊せなくて、このまま停滞し続けることも考えられた二人ですが、ストーカーちゃんのおかげできっかけができていい方に転がることができて良かったのではと思います。書き下ろしでは貴重な学生時代の思い出やラブラブ年越しなどの様子も見れますのでぜひ!
著者:楔ケリ
レーベル/出版社:MIKE +comics /道玄坂書房
発売日:2017/04/07