離婚しやがれ、α様

番である横暴な俺様αに、番契約を解除するまでにほしいものを用意しないと離婚すると三行半を突きつけたΩのレイ。そんな二人の夫夫喧嘩の行方はいかに──!

あらすじ

「オレとセックスした後で他の誰かとヤレんの?」横暴な俺様αにツンギレΩが三行半!運命をやり直すオメガバース離婚BL!レイと天星は番契約済の「新婚」。しかし契約を解除できる薬が開発されたことで「運命の番」という関係自体が揺らぎつつあった。セックスも新婚生活も独善的な天星に不満を募らせたレイはある決心をする。「番契約解除の薬が効くまでの間に俺の欲しいものを用意出来なければ離婚してくれ」――怒りをあらわにする天星と煽るレイ。「そんなに俺と別れたくねーの?旦那様」「…は?」夫夫ゲンカの行方は…!?

ネタバレあり感想まとめ

新婚3ヶ月目の番の天星とレイ。しかし、レイはそれを良いと思っておらず番を解消するための首輪をつけ始める。外せという天星に、レイはある条件を出す。これをつけて1ヶ月で番ではなくなってしまう間に、自分の欲しいものをくれたら離婚しないでやる、というものだった。最初はふざけるなという態度だった天星も、「嫁のワガママくらい叶えてやんなきゃな」と余裕な様子。それから天星の高級なプレゼント攻撃が続くが、事態は改善しない。番解消まで3週間になっていた。

幼馴染であるレイの欲しいものなんて簡単にわかると思っていた天星だが、なかなか上手くいかずレイの態度が変わらないこともあり苦戦していた。モノではなくシチュエーションではと思った天星はレイを外食に誘う。まさか高級ディナーとは思っていなかったレイは普通の服で来てしまい、入店を断られてしまう。周りの人にも嘲笑されるが、天星はそれを鼻で笑いレイを御用達のスーツ店に連れて行く。スーツに着替えたレイは店に入るとαと勘違いされ大勢の注目の的となり、「ざまあみろ」と思う天星。発情期が2週間後に近づき、薬をもらいに行くというレイ。それを聞いた天星は本当に自分のことを捨てるつもりなのかと悲しい顔をするのだった。出社した天星は、顔馴染みのα・雨之森につがい解消の噂は本当だったのかと言われる。強制発情させるための薬を渡され、いらないというも置いて帰る雨之森。家に帰り、解消まで2週間を切ったのにどうすればいいかわからない天星はもやもやしていた。そんな天星の様子を心配したレイが近くにきたため「別にセックス禁止じゃねぇだろ?」とキスをしてレイを抱こうとする。

明らかに息が上がっていて様子のおかしいレイ。原因は雨之森が渡した薬が破けて漏れ出していたからだった。天星を求めるレイを別室に連れて行き呼ぶまで出てくるなと離れようとすると、レイに引き止められてしまい指で相手をしてあげる。全てが終わった後、セックスして「離婚しない」と言わせればいいのにそうしない天星が番を解消するのを待っているのかとレイは思ってしまう。週末、天星の家族の食事会に呼び出される二人。元々家が決めたαの婚約者がいた天星はそれを解消してレイと番になったため身分差があり天星の家族にはよく思われていなかった。特に苦手なのは天星の兄で、番解消の噂を聞きつけた兄から愛人として飼ってやっても良いと言われ、挑発的に反抗するレイ。そこに天星が来て、レイを連れて食事会から去る。ホテルに来た二人は客室内の浴槽に浸かりながらさっきの話をしていた。仕事の疲れから浴槽で寝てしまう天星。レイと結婚するための条件である子会社の不採算部門を一年で立て直した天星はそれからも自分を支配しようとする家族と戦い続けていた。天星のことはずっと好きだけれど、天星はそうではない。だから尚更自分の恋愛感情から自由にしてやりたいと思うレイ。

高校時代、家や第二性のことで荒れていた天星。ベータのレイは幼馴染の腐れ縁で、バースに支配されず自分の受け入れてくれるただ一人の存在だった。レイの家でよく食事をしていた天星は、自分の家とは対照的な暖かい家庭に出会って自分の家が家族の在り方として歪なのだと初めて知る。バースに狂わされない関係があの頃の自分には尊く思えていた。風邪で1週間休んだレイを不審に思い、家を訪ねると首輪をしているレイがいた。レイは後天性の突然変異でΩになってしまったこと、父親の会社が不渡りを出したことで引っ越すことを打ち明ける。大事なことを秘密にされていたことで頭が焦げついてしまう天星。Ωとαである以上一緒にいると影響が出てくると言うレイに「オレの番になればいいだろ」と言う。他の誰かの番になるのが許せなかった天星だったが、「やっぱバスはクソだな」「お前がベータでよかった」と言っていた過去の自分を思い出して「ダチだからに決まってんだろ」と嘘をつく。「同情でオレとヤれんのかよ…!」と言うレイを見て自分はレイが好きなのだと自覚をする天星。首輪をはずしてキスをし、レイの頸を噛んで身体を重ねる。親友を失った代わりに運命の番を手に入れたと思っていた。

天星とレイは夜の母校を訪れていた。屋上に行き、思い出を振り返る二人。昔は屋上でやっていた花火を今度は海でやろうと言う天星の言葉を止め、「もういいよ天星」と言うレイは、もう番ではないことを打ち明ける。後天性ということもあり、薬が早めに作用したのだ。番を解除できるのは最初で最後のため、αの抑制剤を渡されていたレイ。「けどそれがお前の答えならわかった」「離婚しようか、レイ」と約束通り告げる天星。友達に戻ろうと提案する天星に無理だと答えたレイは、「今までずっとオレのためにごめんな、Ωになってごめん」と転生の元を去ってしまう。発情期が来たらまた天星を縛り続けてしまい、また噛まれたいと思ってしまうだろう。誰かと恋をする天星を近くで見たくないと離れる決意をしたのだ。そう歩いていると、気付いたら仰向けに寝かされ、男たちに囲まれていた。「こんばんはレイくん」と姿を現したのは天星の兄。番契約が切れたことを聞きつけ、番にするために体を押さえつけられ襲われてしまう。天星のことが気に食わない兄に対して天星がどれだけ悩んで自分のために自由を手放したのか知ろうとしないくせに、と怒鳴る。すると最悪のタイミングで発情期が来てしまう。拒否しようと思っていても体がαに逆らえないレイ。そこに異変を感じた天星が助けに入る。

兄を蹴り飛ばした天星のおかげでα用の抑制剤を突き刺すレイ。必死に男たちを抑える天星は、「いつものあの場所で」とレイを先に行かせる。学生時代隠れ場所としてよく使っていた保健室へ向かうレイとそこに遅れて到着する天星。発情しているレイは天星にすり寄ってしまう。そこに「レイ、一緒に逃げようぜ」「あのバカ兄貴とお前が番だとしてもオレは一生お前をサポートしてく」という天星。オメガの自分のために自由を捨ててどうしてそこまでするのかと問うと、「好きだからに決まってる」「オレが勝手にお前を好きでいるのは許してくれよ」と言われる。その言葉を聞いて拍子抜けしてしまうレイ。友達だから番になったのであって、天星も自分が好きだと思っていなかったのだ。レイの欲しいものとはプレゼントでもなんでもなく、ただ天星の「好き」という言葉だけだった。自分のやったことが茶番だったことに恥ずかしくなる。噛まれてないよというレイにオレが最初で最後になっても良いのかという天星。「天星がいい…っ」「またオレをお前の番にしてくれ」とレイが答える。再び番になった二人はその場で身体を重ねる。

突然の出来事でつがいになった二人は言葉足らずが原因で、想いあっているのにすれ違いを起こしてしまう。そのすれ違いが大きくなり、天星のことを大事に思っているが故に番を解消するという自己犠牲を相談せず選んでしまうところがしんどかったです。兄につがいにされそうになった時に、パートナーの危機に気づいて助けにこれるのがやはり絆の結びつきが強いのだろうなと思いました。

著者:紺色ルナ
レーベル/出版社:Continuer./パチカ
発売日:2022/12/16

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