婚活中のオメガの獅子倉は、突然のヒートで中途入社した学生時代の宿敵・虎谷と関係を持ってしまう。その後、婚活サイトで”相性最高”とマッチしたのはまさかの虎谷で──!?
あらすじ
運命の番を探す活動、“運活”中のオメガ・獅子倉。突然ヒートを迎え、中途入社してきた学生時代の宿敵・虎谷(アルファ)と関係を持ってしまう。その翌朝、獅子倉の元に運活相談所から“相性最高”と送られてきた相手はなんと……!? 性格的には最低最悪、性的には最&高な運命のケンカップル・オメガバース!
ネタバレあり感想まとめ
周りが続々と結婚していくことに焦りを感じたオメガの獅子倉は運活相談所に登録することに。二週間音沙汰がなく、困っていたところに現れたのは新しく自分の会社で働くことになった虎谷だった。実はこの二人、小さなことをきっかけに中学卒業まで顔を合わせるたび喧嘩を繰り返していたのだ。虎谷の歓迎会が終わり解散すると、獅子倉と虎谷は帰る方面が同じに。すると獅子倉は、いつもよりも早めにヒートが来てしまう。抑制剤もないため虎谷に頼むほかなく、嫌味なことを言われながらも買ってきてもらうことに。他に人が来ないよう近くのホテルで待っていた獅子倉だが、どうしても我慢できず何回も出すも一向に収まる気配がない。そこに抑制剤を買ってきた虎谷が帰ってくるが、虎谷はアルファだったため、獅子倉のフェロモンにフラついてしまう。フェロモンで辛いのはお互い様のため、発散のために体を重ねることに。あまりの良さに入れただけでイってしまう獅子倉。気持ちよさが止まらず、これがアルファとのセックスなんだと思い知らされることに。翌日目を覚ました獅子倉が、虎谷が起きる前に帰ろうとすると一通のメールが。そこには運活相談所から虎谷との相性が最高、との知らせが届く。
会社で会うもノーリアクションの虎谷を見て、運活相談所からの縁談も断り、部署が違うため極力関わりを断とうとしていた。そんな矢先、虎谷が入ってきたばかりという理由で二人だけで泊まりで出張に行くことに。出張先で各自別々で食事をとった二人はチェックインしようとするが、ダブルルームで予約されてしまっていた。代わりのホテルもなく、ダブルルームでチェックインすることに。前に身体を重ねたときのことを虎谷に掘り返され、恥ずかしさから発情期のせいにする獅子倉。そんな獅子倉を見て気分がいいと言い、発情期じゃない時はどうなるのかと虎谷は獅子倉に触れだす。お互いに煽っているが、最終的には獅子倉が折れ、挿れて欲しいとせがみ結局二人はまた身体を重ねることになってしまう。相性最高は伊達じゃなく、気持ちよさから虎谷の精子を自ら望む獅子倉に煽られ虎谷も獅子倉のナカで果てる。目を覚ました獅子倉は、「またやっちまった…」と思うのだった。
獅子倉は、出張の一件から虎谷とセックスする夢ばかりを見てしまうようになる。お手洗いで会った虎谷に、キスするぞと言われても嫌がることはなくむしろ顔が赤くなってしまったり、先輩に誘われた合コンの相手がCAと聞いても喜ばなくなってしまったりするように。付き合いで参加した合コン当日、なぜか虎谷の姿が。気にせず女の子との会話を続けて、この子いいなと思っていると第二性は何か聞かれる獅子倉。今までオメガだったことを明かすとみんな残念がっていったがこの子は違うかも、と思い「俺オメガなんですよねー」と明かす獅子倉。そんな期待とは裏腹に「そっかぁ、残念」と返す女の子。獅子倉は「あはは、なんかすみません」と笑って返す他なく、それを見た虎谷は残念なんて値踏みするようなこと平気で言うのは失礼だし、獅子倉はあなたにはもったいないくらいいい奴だ、と吐き捨てて会場を後にしてしまう。そんな虎谷の後を追いかけてお礼を言う獅子倉。
ある日出社すると獅子倉の姿がないことに気付く。後輩から体調不良だと聞いた虎谷は心配になってしまい、後輩が借りていた漫画を返しにきた、と理由をつけてわざわざ獅子倉の家に訪れる。虎谷が漫画と一緒に持ってきたのはお粥やスポーツドリンクの差し入れだった。このまま帰ろうとする虎谷を引き留め、部屋に招き入れる獅子倉。今回の体調不良は抑制剤が効かないことによる体調不良だった。虎谷がお粥を温めて持ってくると、ベッドには虎谷の私物を集めて巣作り(ネスティング)をしている獅子倉の姿が。好意を抱いている相手にしか行わないものであるため、そんな要因がどこにあったのか虎谷が考えているとふと目に入った獅子倉のうなじに噛みつきそうになる。発情期で頭がふわふわになっている獅子倉は、前と同じように虎谷に助けを求めるが、今日はだめだと判断した虎谷によって手だけで手伝ってもらうことに。イった後、薬が効き始めて寝た獅子倉を見て番のことを考え出す虎谷。
母親からの電話でお見合いをすることになってしまった獅子倉。お見合い場所に行くため、電車に乗るとそこには虎谷が。昔から好きだった女児向けアニメの映画を見に行くようで、お見合いに乗り気でなかった獅子倉は「周り子供連ればっかだろ、一人で行く勇気あるのすごいなー」「俺もこのまま一緒に映画行っちゃおうかなー」と何気なく言うが、それが何か気に障ってしまったのか、いきなり怒り出してしまう虎谷。それにムカついた獅子倉は、自分がこれからお見合いだ、と言うことを伝え電車を降りる。お見合い相手に会ってみると、礼儀正しく爽やかな人であった。優しくて虎谷とは全然違うな、と思っていると映画に行ったはずの虎谷がなぜか同じレストランにいることを知ってしまう。お見合い相手の小野田はミリオタであり、お金もかかることから毎回振られてしまうことを知った獅子倉は、虎谷を例に出して趣味を我慢する必要なんてない、というと結婚を前提に付き合ってほしいと言われてしまう。返事に戸惑っていると虎谷が話しかけてきて話しかけてきて、小野田にこいつはやめた方がいいなんて伝える嫌がらせをしてくる。それを見て、本当に自分のことが嫌いなんだなと思う獅子倉。喫煙室で虎谷と二人になった際に、なんで嫌いなのにわざわざ絡んでくるんだと聞くと、わからないのは獅子倉の方であり、近づいてもキスしたいなんて思いもしないしアルファとオメガの生殖本能で求めあっていただけだ、と言われてしまう。その言葉に怒った獅子倉は「分かってても面と向かって言われるとムカつくんだよ!」「やっぱテメェのこと嫌いだわ、俺も」と喧嘩してしまう。
あれからずっとその時のことを思い出してショックを受けてイライラしてしまう獅子倉。会社で顔を合わせても業務連絡のみで口喧嘩もしなくなっていた。そんな折、小野田から家でゲームをしないかとの誘いがあり、飲み会を欠席することを虎谷にも聞こえるよう大きな声でいう獅子倉。反応を示さない虎谷に何を期待しているのか、と思うと同時に小野田を待たせてしまっていることもしっかり決めないと、と思うのだった。小野田の家に行きゲームをしていると、毎週でも毎日でも遊びに来てくれてもいいと告げる小野田。いい雰囲気になり、キスまでするもどうしても虎谷のことが頭から離れない獅子倉。小野田に断りを入れて、帰宅しながらこれからどうしたらいいのか考えていると自分の最寄り駅にいた虎谷に声をかけられる。
帰ろうとする虎谷に大事な話があると引き止めるが、そのことで終電を逃した虎谷はタクシーを停めてくれと獅子倉に頼む。大事な話があるって言っているのに、そんな態度を取る虎谷にムカついた獅子倉は「一生好きって言ってやんねーからな!!」と思わず本音をこぼしてしまう。焦った獅子倉は気にしないでもらって大丈夫というが、「私のことが好きなのか?」と聞き返す虎谷。嫌いだと喫煙室で言ったのになんでと聞かれ、虎谷が意地悪してきたからであり、そんなことは嫌いじゃなければできないという獅子倉。虎谷は自分がこの駅にいたのは獅子倉を引き留めるためで、今日の予定を聞こえるように言われて煽られたが無視できず、小野田の家が分からなかったために獅子倉の家まで行って帰ろうとしたところで獅子倉に会ったことを伝える。それでもまだわかっていない獅子倉に対して「わかるだろ、お前のことが好きだからだ」という虎谷。タクシーを呼び、虎谷を送ると、一緒に帰るに決まってると言われ、二人で獅子倉の家へ。今日小野田とどこまでやったのか、と言われキスはした、という獅子倉。喫煙室でキスしたくない、と言われたことを根に持っていた獅子倉は謝るならキスさせてやってもいい、と煽ると素直に謝る虎谷。二人はキスをしてそのままベッドへ。今までとは違う優しいセックス、獅子倉が「好きだ」と伝えると最後には「俺も好きだよ」と伝えてくれる虎谷に「嬉しくなっちまうだろうがクソ野郎!!」と思う獅子倉だった。
少し長くなってしまいましたが、今回の作品はオメガバースの作品でした。まさに会社でも行為中でもお互いを煽り合うケンカップルという感じでしたが、獅子倉が心配になりわざわざ用を取り付けて差し入れも買ってお見舞いに来る、素直じゃない虎谷がすごく可愛らしかったです。獅子倉も、仲が深まるにつれて虎谷の優しいところに触れて優良物件である小野田を断ってまで両思いとも分かっていない虎谷を選ぶところが健気だな、と思いました。この作品は現在続編が連載中とのことなので、是非とも続編も読んでいただけたらと思います。
著者:春田
レーベル/出版社:ディアプラスコミックス/新書館
発売日:2020/09/01