条件を守れば誰でも付き合う逢見は告白され、現在の恋人・楓と付き合うことに。何も求めてこない楓を楽だと思っていたが、セフレとキスをしても反応のない楓に次第に調子が狂わされてしまい──!?
あらすじ
モテるが自他共に認めるクズの逢見。告白されれば誰とでもつきあうが束縛しないのが条件。現在の恋人・楓は何も求めてこないし、余計なことを言わないので都合がよかった。でもセフレとキスしているのを見て態度すら変わらないのはおかしくないか!?調子が狂いまくりの逢見はいつしか楓に独占欲を抱くようになってしまう。しかし逢見の気持ちは楓には伝わらず……?ヤリチン恋愛初心者の胸キュンラブ
ネタバレあり感想まとめ
条件さえ守れるなら誰でも付き合う逢見がカフェで別れ話をしているのを聞いた楓は彼女と別れたばかりの逢見に付き合ってくださいとお願いする。逢見の出した条件とは、「どこで」「誰と」「何を」「しようと」一切口を出さないことだった。それに納得した上で逢見と楓はお付き合いをすることに。いつもしばらくすると相手から条件のことで文句を言われてきた逢見だったため、今回はどれくらい持つかな、と思っていた。しかし、二週間経っても挨拶をして軽い連絡を返す程度。女と一緒にいることに対するリアクションもなく何がしたいのかわからない逢見。
数日後、お昼を食べないかと楓に誘われ、一緒にお昼を食べることに。自分のどこを好きなのかと聞くと、「周りの目とか気にせず自由に恋愛したり…自分の思うままに生きてるところとか…めちゃくちゃかっこいいと思います!」「顔がめちゃくちゃタイプです!!」と言われる。誘ったことを迷惑だったかとも言われたが、逢見は「迷惑かどうかは俺が決めるから飯でもなんでも誘いたい時に誘えばいいだろ」と今まで付き合ってきた人たちとは違う反応を示す。いつもと同じく一緒に帰っていると、楓の家にCDを借りに行くことに。
二人で家に行って過ごしていると「俺は今誘われてんの?」という逢見。そんなつもりはなかったが一瞬よぎりはしたという楓。キスならできるかも、ということになって二人でキスをする。数日後学校でいつも通り待ち合わせをしていると、セフレの女の子が現れて楓が見ている前で逢見にキスをしてくる。見られてしまったことに焦っていると、いつも通り何もなかったように接してくる楓にびっくり。後日女の子と楽しそうに話している楓を見て何かモヤっとした逢見は特に何もないのに楓を呼び出す。少し怒ってしまった逢見は申し訳なく感じ、楓のことをなぜか抱きしめてしまう。本当に楓が逢見に対して何も思わないことを疑問に感じた逢見は「俺のこと好きなんだよな?」とつい確認してしまう。逢見は同級生との飲みで楓のことを好きなんじゃないかと聞かれるが、そんなことはないと返す。しかし、思い返してみると歴代の彼女と似たような考えをしていることに気づく逢見。
学校で楓と会うと、ライブに誘われる。一旦断るも「行きたい」というべきだったのではと思うように。そんな逢見の様子を見て同級生たちは、逢見は楓のことが結構好きで、好きってことを否定したり他のこと話すのを気にしたり意地悪したり小学生の時に経験することを今になってしている、ということを伝える。セフレには恋ではないと思う、と言われるが一度言われてしまった以上気になってしまって楓とまともに話せなくなってしまう。何か話題をと思い、逢見は前に聞かれたライブに行こうと思う、という話をするがどうも話が噛み合わない。よく聞いてみると、楓は逢見とライブに行くために誘ったのではなく、逢見が誰かを別に誘う前提で話をしていたのだ。今までの件や今回の件でもそうだが、楓は逢見が何をしていても口を出さない、という約束を守った上で一線引いて割り切って付き合っていたのだ。そのことになぜか腹のたった逢見は楓のことを結構好きだと伝えるが、その真意がうまく伝わらずにもやもやし、ついには楓のことが愛とか恋とかそういう意味で好きだということを勢いで伝えてしまう。
お互いに混乱する楓と逢見。一旦二人きりになれる場所で話し合いをするために二人は逢見の家に行くことに。最初は楓のことを好きにならない、と言っていた逢見だったが、楓があまりにも意識しないものだから少しわからせてやりたくなって失敗して思っていることを全部言ってしまったと話す。いつの間にか好きになっていて、「楓とずっと一緒にいたいって思うし、今はなんとなく触れたいなって思うよ」告げる逢見。二人で抱き合い、キスをする。想いが通じた二人は初めて体を重ねることに。「スゲー幸せ、好きな人とのセックスってこんな気持ちなんだな」という逢見に「俺もめちゃくちゃ幸せです!!」と返す楓。事後に二人で話しているときに逢見は「楓に恋人として好かれたいんだよね」「俺、楓になら独占されてもいい」と当初の約束とはぜえんぜん違うことを言い出す。そんな逢見に驚き、「そんなことしちゃっていいんですかね」という楓に対し、逢見は自分との間にある壁をどうにかしてほしいとお願いする。そして、それはこれから二人でゆっくりやっていこうと言うのだった。
来るもの拒まず去るもの追わずの典型的なクズ男だった逢見が、自分の挙動を全く気にせず口すら出してこない過去の恋人たちとは明らかに違う楓に出会ったことによって自分のことをもっと見てほしいと思うようになる恋愛初心者の様子が可愛かったです。楓のように一線引いて割り切って好きな人と付き合うのはなかなか難しいのではないかと思いますが、そんな楓だったからこそ逢見の心を動かすことができたのではないでしょうか。まともな恋愛をしてこず、適当に恋愛すればいいと思っていた逢見が楓を好きだと気付いてしまいどうすればいいか分からず全てを吐露してしまうシーンはとてもドキドキしながら読んでいました。思いが通じた後は楓に対してとても甘く、束縛されたい恋人っぽいことをしたいと思いたくなったその心情の変化も良かったです。
著者:まちお郁
レーベル/出版社:B’s LOVELY COMICS/KADOKAWA
発売日:2021/02/15