イケメン気象予報士・瀬ヶ崎と一緒に住んでいる売れないエロ漫画家の葉。一緒に住み、葉が家事全般をして、二人が身体を重ねるのはある契約が関係していて──。

あらすじ

『明日は晴れなので、この男は俺を抱くだろう』人気上昇中のイケメン気象予報士・瀬ヶ崎(せがさき)の正体は、とんでもない暴君だ。崖っぷちエロ漫画家の葉(よう)はそのことをよく知っている。何故なら瀬ヶ崎と一緒に住んでいるから。そして瀬ヶ崎のために料理やら掃除やらをしているから! それもその筈、衣食住を提供してもらう代わりに『瀬ヶ崎の言うことを全部聞く』という契約を結んでいるからで──?

ネタバレあり感想まとめ

 エロ漫画家の葉は、いつも天気予報チャンネルをBGMに、その天気予報チャンネルの解説員・瀬ヶ崎瑞貴のファンの友達・万さんと通話しながら作業している。そこに帰宅してきたのは瀬ヶ崎瑞貴。訳あってようと一緒に暮らしている。葉が天気予報を聞いていやらしい気持ちになってしまうのは、恋人でもないのに、瑞貴に晴れの日の前に抱かれているから。二人は元々大学の先輩と後輩で、漫画家を目指すも売れないため、諦めようとしていたところに衣住食全て補償するから全部いうこと聞けと持ちかけてきたのが瑞貴だった。身体を重ねるとは思ってもいなかったが、どうして晴れの日の前日だけなのかはわからないままだ。梅雨に入り、身体重ねることも減り仕事が忙しくなった瑞貴。葉は、画面の向こうで楽しそうに話す女性キャスターに嫉妬してしまう。瑞貴が帰宅すると、そこには電動オナホを使いながらベロベロになった葉の姿が。この家から出て行きたいという葉は、どうして雨の日はダメなのか勢いで瑞貴に聞く。すると、それは初めて身体を重ねた時に葉がシーツの心配をしていたからで、自分のプロポーズを受けておきながら出ていくとはなんだ、と瑞貴に抱きしめられる葉。

その言葉にキョトンとしていると、「俺のこと嫌いなんだ?」という質問に返事ができず、瑞貴は部屋を出ていってしまう。カフェでネームを進めていると、急に夜勤が入ったから行ってくる、と外面モードの瑞貴が伝言にやってくる。笑った顔が見たかったのに、怒っているような、瑞貴と話した心地がしなくて寂しさを感じてしまう。家に帰り、瑞貴とご飯を食べる葉は何を話したらいいか分からなくなっていた。本当は瑞貴のことが大好きだけれど、瑞貴に対するムカつくところを集めて大嫌いだと思っていないとその気持ちの不釣り合いに息ができなくなってしまいそうだったのだ。口では上手く伝えられない、と思った葉は替えのシーツをたくさん買って瑞貴に渡す。お前にしちゃ上出来じゃん、と瑞貴はとても上機嫌な様子だった。これだけのことで喜ぶなんて、この人は本当に自分のことが好きなのではないかと信じてみたくなる。そのままベッドに向かった二人は体を重ね、いつもと違う気持ちよさに戸惑う葉。瑞貴に気持ちが伝わったのかと思ったが、「よかったな、いっぱいできんじゃん大好きなセックス」「まー残念ながら相手は大嫌いな俺ですけど」と言われてしまう。だが、瑞貴は葉が自分のことを大好きなのをわかった上でわざと言わせたくなったのだった。

 不定期にもらっていた漫画の仕事も途切れ、無職になってしまった葉。その現実にげっそりしていたところに瑞貴が帰ってくる。ご飯を用意していないことを謝ろうとすると、怒る様子もなく甲斐甲斐しく自分の世話をしてくれた。今日はされるがままで気分よかった、と上機嫌で頭を撫でる瑞貴をみて、本当の恋人同士みたいだと思う。しかし、自分に一個もいいところがないことに気付いてしまい、原稿友達の万さんに相談すると、お金を気にせず漫画を描けるのにウジウジするのが気に食わないと怒られてしまう。しかしお金がないため、万さんの提案で泊まり込みで原稿を手伝うことに決める葉。そのことを瑞貴に言うと、態度が豹変し葉の漫画の仕事がなくなってもどうでもいいと言われてしまう。応援してくれていると思っていた葉は、「絶対あんたより稼げるようになってやる」と反抗。また葉が家を出ていくのではと思った瑞貴は葉をテープで拘束してしまう。

 葉は出ていくつもりなんてないことを言おうとするが、体がこわばって声が出なくなってしまう。独占欲を全開にする瑞貴を前に震える葉の姿を見て、冷静になる瑞貴。出ていくつもりはないと言うと、勘違いさせるようなこと言うなという瑞貴は拗ねて甘えているようにしか見えない。瑞貴に「お前、どうしたら俺だけのもんになんの…」と抱きしめられ、こんな気持ちを向けられていたのになんで今まで気付かずいられたんだと思い、思わず顔が真っ赤になってしまう。自分のどこがいいのか聞くと、内緒と言われ、意地悪されるのが好きなところじゃないか、と適当に返されてしまう。胸を噛まれ、感じてしまったため「好きじゃん」と言われると、葉は「好きなのかも」と素直に返す。それを聞いた瑞貴は興奮して「はやくお前ん中入らせろ…」と言う。なかなか動いてくれない瑞貴に早く動いてほしいと言うとしてほしいことを言えるようになったことはほめられたが、「じっくり時間をかけて超〜〜〜〜〜鈍なお前でも俺の気持ちがわかるようにしてやるよ」と意地悪をされる。途中から気持ちよさで訳がわからなくなっていたが、信じられないような幸福感でこのまま死ぬのかなと思った葉。

 そんなこんなで万さんを自宅に呼ぶことになったのだが、ガチオタである万さんは思考停止してしまう。楽しそうに話す瑞貴と万さんを見て、もやもやで酒が進んでしまう葉。万さんが帰宅する頃にはぐでぐでになっていた。送ってくるからと言ってもなかなか離れようとしないため、瑞貴は思わずデレで顔が赤くなってしまう。しかし、旦那に来てもらうと言う万さんのおかげで一件落着。万さんが着込んだと知って、瑞貴もほっとするのだった。帰ってからもやきもちを焼き続ける葉の頭を撫でながら満足げな瑞貴。帰りの車では、万さんと旦那が今日の話をしていた。土産話に葉のどこに惚れたのか聞いたのだが、「葉の作ったカレーが不味かったから」らしい。これは二人が学生だった時の話。瑞貴は友達はいっぱいいるものの、自分の立場が悪くならぬよう心で罵詈雑言を呟き外面だけの付き合いを続けていた。心の底から信頼している人間はおらず、前から視線を感じていた葉のこともよく思っていなかった。ある日、興味本位で話しかけてみると葉は人物画を描いていた。自分であろうその人の表情はひどいもので、心の中で余計苛立ちが募る瑞貴。ある日、体調が悪いのに喫煙室に付き合わされていたところを葉に話しかけられ、具合が悪そうだったからと半ば無理やり連れ出してくれる。途端に具合が悪くなってしまう瑞貴に友達を呼ぶか聞くと、「あいつらといるとつかれる…」と打ち明け、家まで連れて行ってもらう。

 弱る瑞貴を見た葉は、帰らずにもう少し一緒にいることに。お腹がすいたと残し、眠りについてしまう瑞貴。ふと目を覚ますと、また瑞貴の姿を描いていた葉。葉はカレーを作ってくれていたらしく、体調不良なのにと思いながらもとりあえず食べることに。口をつけてみると、食べられるものの生煮えだったりルーが薄かったり散々な出来だった。心配そうに見つめる葉の顔を見て、本当は料理なんてできないのに頑張って作ったのだろうと思った瑞貴は、このカレーの不味さを知っているのは自分だけでいいと思う。面倒見させたことを謝りながら葉の頭を撫でる瑞貴は、そんな葉のことを自分のものにしたいと思うのだった。寝落ちした葉が目を覚ますと、目の前で瑞貴が寝ていた。いつも機嫌が悪かったのは瑞貴も自分と同じ気持ちだったのかも、と思っていると瑞貴も目を覚ます。瑞貴に嫌いだと言ってしまったことを謝ると、「好きすぎてしんどい」ってなっているだけだろうから、と気にしてはいない様子。それを葉が肯定し、キスをしながら「嫌い」と連呼する素直モードの葉に驚く瑞貴。お互いに服を脱ぎ、ソファーで身体を重ねる二人。朝起きると、仕事の支度をしている瑞貴は葉に甘える赤ちゃんのようだ。今日疲れているだろうから、晩飯はカレーでいいと言って微笑んで家を出る瑞貴。「作らなくていいから」ではないんだな、と思いながらも瑞貴の言う通りカレーの準備を進める葉は、あの甘えた男が何をどうしたらこの好青年になるんだ、と瑞貴が出る天気予報チャンネルを見ながら思うのだった。

体感予報は一旦ここで完結となります!1話1話のタイトルに天気予報が付けられているのでその話の内容と関連づけて読むのも楽しいと思います。二人は両思いなのに言葉足らず同士なおかげですれ違い続ける日々を送っている訳ですが、万さんの登場で無事気持ちを素直にぶつけ合うことができてよかったです。万さんは私たち腐女子の心の代弁者のようでした(笑)恋愛要素も他のBLと比べて強めに感じたので少し強引な瑞貴にキュンキュンしながら毎話読み進めていました。インスタの広告で気になって短話売りで追いかけていましたが、とても充実感のある作品だと思います。単行本には書き下ろしもつくそうなので、そちらもよろしければ。

著者:鯛野ニッケ
レーベル/出版社:ソルマーレ編集部/Ficus
発売日:2022/11/10

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