第二性の欲求不満からくるストレスを解消すべくマッチングプログラムに参加した榛名の相手はまさかの会社の同僚で──!?

あらすじ

男女の他に他人を支配する性・Domと、他人に支配される性・Subという第2の性別が存在する世界――。ごく一般的なサラリーマン・榛名桔平は、自分の生まれ持った支配される性…“Sub”のことを毛嫌いしていた。Dom性を持つパートナーを探しもせずに薬だけでSub性の”支配されたい“という本能を押し殺して耐えていた榛名だったが、その思いとは裏腹に欲求不満からくるストレスや体の不調が膨らんでしまい、とうとう医者に勧められてパートナーを探すことに。観念して訪れたマッチングプログラムによって引き合わされたDomは、過去にSubである自分に威圧するような目を向けてきた同僚のエリート・大友颯太で…!?

ネタバレあり感想まとめ

ダイナミクスに偏見を持つ椎名はプレイのためのセーフワードを設定する際に、絶対に言うことのない言葉として「大好き」を指定する。そんな椎名は、パートナーの大友と多くの時間を過ごしていくことで徐々にその偏見が薄れていくが、大友は「君の嫌がることは絶対にしない」となかなか手を出してこずだんだん物足りなさを感じるようになっていくように。

 お互いの嫌なこと、好きなことについて話していく中で、椎名のダイナミクスへの偏見は過去の出来事と深く関係があり、そこからSub性を毛嫌いするようになったことが明かされる。昔、榛名はたまたま友人と見た過激なSubのAVでSub性への気味悪さが芽生えてしまい、Domの姉の恋人のSubに酷い言葉をかけてしまったことによって姉の“Glare”のコマンドによって倒れてしまったことがあったのだ。大友と順調に生活をしていく中で、姉の結婚を機にその姉の恋人とも再会することに。昔のことを謝り、同じSub性を持つものとしてのアドバイスでSubにもいろんな人がいることを知っていく榛名。

 大友に会いたくなった榛名であったがなぜか大友には避けられているような気がして、さらには大友と同じプロジェクトのSubの女性と仲良さそうにしているところを目撃してしまう。そんなとき、飲みに誘ってくれた同僚のDomにパートナーにならないかと声をかけられるがその視線の先に現れたのは大友であった。大友はパートナーのSubを守るコマンド“Defense”で同僚から榛名を引き離し、連れられるまま二人はホテルへ。怒った大友はお仕置きと称してコマンドを連続で出すも、榛名を傷つけることに耐えられずセーフワードを言ってとお願いする。しかし、榛名はとっくに大友を好きでいたため、セーフワードを言わずに大友のコマンドに応える。「すごく素敵だった」と大友に褒められた榛名はあまりの多幸感でSubspaceに入ってしまったため、話し合いは翌日に持ち越すことに。

 朝起きた榛名は、大友は榛名をずっと前から好きだったことと、パートナーになった榛名に意地悪をしてみたいという欲求を、薬を飲んでも抑えられず、暴走することを恐れて避けるようになったことを告げられる。思いが通じ合った二人は「大好き」のセーフワードを変えることに。お互いに思いを告げ、体も重ねた二人はようやく心から繋がることができたと実感することができたのであった。


大友というDomに関わっていくことによってダイナミクスやSubへの嫌悪感が徐々に薄れていく榛名と、そんな榛名への想いを隠しながらも献身的に支える大友の、途中ですれ違いがありながらもお互いに想いを通わせていく姿が印象的でした。Dom /SubはSMプレイのような雰囲気も併せ持つためなかなか手を出しにくくもあるジャンルではありますが、この作品は程よい空気感で話が進んでいくため、初心者にも読みやすく、Dom/Subの世界観を理解できる入門書のような作品だと思います。

著者:後之マツリ
レーベル/出版社:G-Lish Comics/Jパブリッシング
発売日:2021/06/18

Recommended Articles

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です